AIに記事を書かせたら、最後に残ったのは「判断」だった

AI・仕事術

AIに記事を書かせた。

ちゃんと書けてる。構成もおかしくない。調べたところも一応裏は取れてる。

なのに、読んでてずーっと何か気持ち悪い。

なんだこれ??

しばらく考えて、ようやくわかった。

これ、ぼくの文章じゃねぇわ。

内容は自分の考えなのに、文章の中から自分だけが抜け落ちている。

これは前回、クラウドワークスについての記事を作っていたときの話だ。

→ 毎日クラウドワークスを見ても「これだ!」がない。調べたらAI時代の副業市場が見えてきた

あの記事自体は、最終的にはちゃんと記事になった。

ただ、そこへたどり着くまでにやったことが、途中からだいぶおかしなことになったw

今回はその話。

最初の仮説を、AIに壊させてみた

そもそもの始まりは、

「毎日クラウドワークスを見てるのに、応募したい案件がほとんどない」

という違和感だった。

そこで最初に思ったのが、

「これ、中抜きされてるだけじゃね?」

元請けから制作会社、ディレクター、さらに実作業者へ。

何段階か仕事が降りてくるうちに報酬が削られて、最後にカスカスになった仕事だけがクラウドソーシングに並んでいるんじゃないか。

けっこう筋が通ってる気がした。

ただ、そこでAIに、

「この仮説が正しい証拠を探して」

とは頼まなかった。

逆に、

「この仮説が間違ってる証拠も、遠慮なく探して」

と頼んだ。

自分の説に都合のいい材料だけ集めれば、それっぽい記事なんていくらでも書ける。

でも、それをやると後で自分が気持ち悪くなる。

で、調べてみた。

すると、仕事をまとめるディレクターや、案件ごとにチームを組むような構造自体は普通にあった。

お、やっぱりそうやん。

……と思った。

でも、そこから先が続かない。

「その構造があるから、クラウドワークスの単価が安くなっている」

とまで言える証拠が出てこなかった。

……あれ?

思ってたのと違う。

結局、中抜き一本で記事を書くのは無理がある、というところに落ち着いた。

その代わりに出てきたのが、AIそのものが仕事市場を変えているという話だった。

AIを使えば、これまで人間が何時間もかけていた文章作成や情報整理を、かなり短い時間で済ませられる。発注する側からすれば、作業にかかる負担が減るぶん、「この仕事に以前と同じ金額を払う必要ある?」という話にもなってくる。

もちろん、全部の仕事が単純に安くなるわけじゃない。逆にAI関連で新しく生まれたり、単価が上がった仕事もある。

ただ少なくとも、AIによって「仕事に必要な手間」が変われば、その仕事につく値段まで動く。

クラウドワークス自身も、AIによるワーカー需要の変化を業績要因として挙げていた。

つまりぼくは、AIを使って仕事を探していたんだけど、その一方でAIは、ぼくが探している仕事の「作業量」と「値段」そのものまで変え始めていた。

……そりゃ、昔と同じ案件の見え方にはならんわな。

こっちの方がよっぽど面白い。

ということで、記事の方向を変えた。

最初の仮説、終了。

記事はできた。でも、なんか違う

そこから構成を作って、本文を書いた。

内容は悪くない。

むしろ筋は通ってる。

なのに、冒頭に書いた違和感が残った。

「これ、誰が書いた文章なんだ?」

内容は自分。

でも文章は誰か別の人。

「つまり、こういうことです」

みたいな綺麗な整理が続いて、間違ってはいないんだけど、間違ってないだけの文章になっていた。

そこで始まったのが、今思えばだいぶ深みにハマった実験だった。

自分の文体をAIに解剖させる

過去のX投稿や、自分が昔書いた長文をAIに読ませて、福本文体そのものを分析させた。

このとき、最近のAIで作った記事はサンプルから外した。

そんなもん読ませたら、

AIが書いた文章をAIが分析して、AIがそのAIを再現する

という、何をやってるのか分からん状態になるw

で、生の文章だけ読ませた。

すると、けっこう当たっていた。

長く一気に書くところと、急に短く切るところ。

「??」でそのまま終わる癖。

勢いよく言い切ったあと、自分でツッコむところ。

思ってた以上にちゃんと分析されていた。

これを使えばいけるんじゃないか。

そう思ってリライトさせた。

確かに前より近くなった。

でも、まだ薄い。

文体は似てる。

でも、なんか生きてない。

なら「熱量」まで分析したらどうなる?

そこで次に出てきたのが、

「文体じゃなくて、熱量が足りないんじゃないか」

という話だった。

なるほど。

なら熱量まで分析しよう。

ということで、今度は自分の文章がどんな時に熱くなって、どんな時に静かになるのかまでAIに解析させた。

しかも最終的には、

Lv1=静かな内省↓Lv5=完全に振り切れている

みたいに5段階にして、

「ここはLv3、ここはLv5」

みたいな指定まで始めた。

……自分の文章に何やってんだw

でも、その時はわりと本気で「これでいけるんじゃね?」と思っていた。

結果。

事故った。

それまでずーっと真顔で説明していた文章が、突然、

「いや、お前かーーーーい!!w」

と叫び始めた。

そこまでに何も積み上がってない。

なのに、そこだけ急にテンションMAX。

見た瞬間、

いや、そうじゃねぇよw

となった。

そこでようやく気づいた。

熱量って、

「ここを熱くしよう」

と後から置くもんじゃない。

考えて、引っかかって、何かと何かがつながって、

「あ、これじゃん」

となった結果として、勝手に上がるものだった。

文章だけ見れば当たり前の話なんだけど、AIに数値指定して事故ってみると、妙に腹に落ちる。

「熱く書け」をやめた

そこでまた方向転換した。

今度は熱量を上げるんじゃなくて、

考えが変わっていく過程そのものを文章にする

ことにした。

調査結果を並べて、

「つまりこういうことです」

と説明するのではなく、

何かを知る。

「あれ?」となる。

別の情報を見る。

「じゃあ最初の考え違うじゃん」

となる。

その流れをそのまま見せる。

これはかなりマシになった。

少なくとも、突然一人で叫び始める文章からは脱出したw

ただ、それでも完全に「自分の文章」になったわけじゃない。

じゃあどうする?

だったら本人が書けばいいじゃん

ここで、ものすごく当たり前の案が出てきた。

AIがうまく本人を書けないなら、本人が書けばいい。

その通り。

なんだけど、それが簡単なら最初からやってるw

AIに完成稿まで作らせると、出来上がりすぎていて直す気がなくなる。

「もう文章できてるやん」

となる。

なら逆に、AIは材料だけ用意して、ぼくが文章を書く形にすればいい。

ということで、完成稿をバラして「半完成稿」というものを作った。

各見出しごとに、

何を書くか。

何を考えるか。

事実は何か。

感情の温度はどれくらいか。

書き出しはどうするか。

そんなメモを細かく整理してもらった。

よし。

これなら自分で書けるだろ。

と思って開いた。

感想。

「ここまで解体されてたら書く気うせるわwww」

終了。

完成しすぎても触る気にならない。

分解しすぎても書く気にならない。

人間、めんどくせぇ。

で、結局ぼくは何をしていたのか

ここまでやって、一回整理してみた。

今回、AIはかなり仕事をした。

調査した。

ぼくの仮説を反証した。

規約や公式資料を集めた。

記事構成を作った。

本文を書いた。

文体を分析した。

熱量まで分析した。

何度もリライトした。

作業量だけでいえば、圧倒的にAIの方が多い。

じゃあ、ぼくは何をしていたのか。

最初の違和感を持った。

「中抜きじゃね?」と仮説を出した。

調べた結果を見て、

「いや、こっちの方が面白い」

と記事の方向を変えた。

文章を読んで、

「なんか違う」

と差し戻した。

文体を分析しても、

「まだ違う」

熱量を上げても、

「これは違うw」

半完成稿を見ても、

「これじゃ書く気にならん」

結局ずっと、

検品していた。

……なんかいつもの話に戻ってきたなw

AI時代、人間の仕事は「作業」から「判断」へ動いている

ここまでやって、ぼくの中では一つ結論が出た。

AIは、思っていた以上にいろんなことができる。

調査できる。

反証もできる。

整理もできる。

文章も書ける。

ダメ出しすれば何度でもやり直す。

これまで人間が時間を使っていた「作業」のかなりの部分を、もう普通に任せられる。

でも今回、記事の方向が変わった瞬間には、毎回ぼくの判断が入っていた。

何を調べるのか。何を疑うのか。どれを採用するのか。何が違うのか。次にどっちへ進むのか。

AIが作業を引き受けるほど、人間の仕事は、自分で全部手を動かすことから、問いを立てて、選んで、判断して、方向を決めることへ動いていく。

ぼくは今、そう考えている。

今回ぼくは、完成稿までAIにやらせたら触る気をなくした。

逆に半完成稿までバラしたら、今度は書く気をなくした。

だから、具体的にどこまでAIへ任せるのがちょうどいいのかは、まだ探している途中だ。

でも、一つだけはっきりした。

AIに作業を任せるほど、人間は「判断」を引き受けることになる。

たぶんこれから必要になるのは、AIより速く作業する能力じゃない。

AIが出してきたものを見て、「これで行く」「いや、違う」と決める力だ。

この記事を書いた人
福本 幸一

首都圏の零細警備会社に約30年勤務。現場の警備員から管制・人員配置・採用・教育・クレーム対応まで一通り担当しました。退職後はChatGPTやClaude Codeなどを使い、自分の経験や文体をObsidianに蓄積して活用する「外部知能」作りを実験中。タルムードなど古今の知恵も好きです。

福本 幸一をフォローする
AI・仕事術
シェアする
福本 幸一をフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました